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黄金色の連翹(レンギョウ)や一面の菜の花畑で純白のコブシの花が風に揺れている。我が家では蜜柑園の法面にコブシと白モクレンが隣り合わせで植えてある。両者は遠目にはほとんど区別がつかない。近くに寄って見ると花弁が細く割れているのがコブシである。

コブシ、ハクモクレンと言えば遠い昔の思い出がある。おやじ(父親)は昭和63年5月に亡くなったのだが、その年の2月に家で倒れ病院に緊急入院。3ケ月余ほどの闘病生活を送った。その頃の私は仕事帰りに家から20数km離れた入院先へおやじを見舞うのが日課になっていた。病室に入ってもおやじは終始意識はなく見舞っても分かるわけではなかった。残念なことに私はこの年の春に管理職に昇格したのだがおやじに報告しても分からなかった。
毎日病院に見舞う道すがらいつしか季節は移って行った。水仙がマンサクやサンシュウ、桜、スモモ、コブシやモクレン、ツツジと次第に変化し、亡くなる直前の沿道の景色は田んぼ一面に麦の穂が広がる「麦秋」の風景だった。入院中毎日見舞った病院だったが残念なことに最後の最後は早朝だったためおやじを看取ることが出来なかった。今でもこれは唯一心残りだが、何と不思議なことにその朝は偶然に(当時一番親しくしてくれていた)親戚のおじさんが早朝病院を訪ねてくれて臨終間際のおやじを看取ってくれたのである。考えてみると世の中には不思議なこともあるものだ。



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最近の暖かさで裏山で早蕨(さわらび)が芽を出し始めた。次々と出て来るのでとても食べ切れるものではないので殺し(灰汁抜きすることをこう呼ぶ)知人友人にお裾分けしている。ワラビは日当たりが良い斜面を好む。昨年のワラビが枯れた草跡の残っている付近を探せば簡単に見つけることが出来る。太く素直に伸びているのを棒蕨(ボウワラビ)と呼んでいる。甘夏蜜柑の法面や防風林の東側の斜面が蕨の多い場所である。連れ合いもワラビ採りは好きで雨の合間を縫って採りに行っている。

ワラビ採りと言えば亡くなったおふくろ(母親)が大好きだった。もう遠い昔(かれこれ数十年前のこと)になるが、この季節になると母親は朝晩ちょっとの時間を見つけてワラビ採りに出かけたものである。自分の所の土地ながら誰でも入って来るため他人に先駆けされてはいけないと朝の5時前から起き張り切ってワラビ採りに出かけていた。雨の翌日などは特にたくさん採れたものである。毎日の収穫だから家ではとても食べ切れない。当時は私と連れ合いは共稼ぎだったのでおふくろが「職場でも知り合いでも誰か喜ぶ方にあげなさい」と言い、今日はあの人次の日はこの人と「初物」をお裾分けしたものである。それが楽しみなのか、嬉々としてワラビ採りに出かけてくれていた。ワラビが生える時節になると決まってそのことを思い出す。ほろ苦くも懐かしく楽しい思い出である。



我家の裏山の果樹園の法面に植えてある桜並木のソメイヨシノが一気に咲いている。午前中は2分咲きくらいかなと思われたが、夕方孫がやって来た時分にはすでに6分咲きぐらいになっていた。
万葉の歌人だったか?「世の中に絶えて桜の無かりせば春の心はのぞけからまし」というのがあったように記憶している。春のこの時期に桜の花が無ければなんと長閑(のぞか)なことだろう、という意味の歌らしい。ほんとうに桜の花はあっという間に咲いてあっという間に散ってしまう。4月上旬に遠来のお客さんが見える。それまで裏山の桜が残っていればと気を揉んでいる今日この頃である。



日中の気温が20℃を超え汗ばむほどの陽気になった。今年はウグイス、メジロの飛来が多いように感じる。数日前から盛んにキジのケンケンと啼く鳴き声も聞こえる。ニホンミツバチはブンブン群れて蜜を集めている。
ここ数日畑作業をしていると蛙を良く見かける。暦の上では3月上旬が「啓蟄」にあたる。いよいよ土中の虫や小動物、蛇などが出て来る季節になった。昨日は終日小雨模様で時折遠雷が鳴った。長い冬眠から覚めてカエルたちもいよいよ活動を開始する時期である。人間様の方は「春眠暁を覚えず」の眠い季節である。

今日は午後連れ合いの友人Sさんが見え甘夏蜜柑、野菜などを託ける。隣町のMちゃんも見えて満開になった花々を見て回る。



庭の一角にユスラウメ(庭梅)の小木(樹齢は経つが樹高が2mくらいと低い)がある。春を待ちかね咲き始めた周囲の花木に刺激をされたか?負けじと間もなく満開を迎えようとしている。
遠い昔、戦後(私が幼い頃)食べ物のない時代には子供たちはおやつ代わりにこの小さな実も食べたものである。今の時代は我々もそうだが子供たちもこんなものに見向きもしなくなった。果実はともかく、早春の雨に濡れびっしりと群がって咲くユスラウメの花は綺麗で実に風情があって良い。


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定年退職後、自産自消を目指し、野菜・花・木々と目下奮闘中。
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